ダイナミックプライシング
ダイナミックプライシング(変動料金制)とは、需要と供給のバランスに応じて運賃を柔軟に変動させる仕組みです。 繁忙期や時間帯によって運賃を高く設定し、閑散期には安く設定することで、需要の平準化を図ります。 長距離鉄道においては、AIによる需要予測に基づき、空席リスクを減らすとともに、利用者にとってもオフピーク時の移動がお得になるメリットがあります。 航空業界やホテル業界では一般的ですが、鉄道業界でも導入が進められています。
最新の動向とAIの関わり
2024年から2025年にかけて、JR各社はダイナミックプライシングの適用範囲を拡大させています。特に、インバウンド需要の回復に伴い、特定の観光特急や新幹線の最繁忙期において、よりきめ細やかな価格設定が行われるようになりました。 AIエージェントを活用したシミュレーションでは、過去の膨大な乗車実績データに加え、天気予報、イベント開催情報、さらにはSNS上のトレンドまでを加味して、数ヶ月先の需要を高精度に予測します。 私が以前、AIによる価格最適化プロジェクトに関わった際も、単に「安くすれば売れる」という単純なものではなく、「どのタイミングで、どの程度の割引率を提示すれば、収益を最大化しつつ顧客満足度を維持できるか」というバランス調整に非常に苦心しました。AIは感情を持たないため、極端な価格変動を提案することもあり、そこには人間による「感覚的な補正」が不可欠でした。
トラブルや失敗例
ダイナミックプライシングにはメリットがある一方で、トラブルも報告されています。 例えば、予約サイトへのアクセスが集中した際に、システムが誤って「極端な高需要」と判断し、通常料金の数倍の価格が表示されてしまったケースがあります。また、利用者が「少し待てば安くなるかも」と買い控えをした結果、逆に価格が高騰してしまい、結果的に高いチケットを買わされたという不満の声も聞かれます。 システム障害により、正しい価格が反映されず、予約受付を停止せざるを得なかった事例もあり、システムの堅牢性が求められています。