ニュースの概要
東海道・山陽新幹線で、65歳以上の利用者に向けた新しい割引商品が案内された。エクスプレス予約の関連サービスを通じて購入する仕組みで、「EX 65+割」などの名称で提供される。注目点は、速達列車の「のぞみ」も割引の対象に含まれることだ。通常の指定席料金を抑えられる可能性があり、東京と関西・西日本を結ぶ長距離移動のシニア層には選択肢が増える。一方で、商品ごとに利用条件、予約の期限、対象となる列車、販売される席数が決められている。購入前に公式の発売条件を確かめる必要がある。
引用元: 東海道・山陽新幹線に65歳以上向けの新たな割引商品(チバテレ+プラス)
分析・見解
のぞみが対象になることの意味は大きい
これまでの高齢者向け割引は、所要時間の長い列車や、会員限定の枠にとどまるものが目立った。急ぎではない旅行ならそれで足りる。しかし、東京から新大阪まで約2時間30分で結ぶのぞみを使いたい人は多い。時間の差は、乗り換えや荷物が負担になる世代ほど大きく感じられる。
今回の商品は、その速達列車を割引の土俵に乗せた。鉄道会社が「安さと速さのどちらかを選んでください」という設計をやめ、両方を求める層に近づいた形といえる。
空席を埋める値付けとして見ると筋が通る
新幹線は、座席が空いていても翌日には売り物にならない。航空会社が早くから当たり前にしてきた、空席の価値を日ごとに調整する考え方が、鉄道にも広がっている。
65歳以上は平日の昼間に動きやすい層である。通勤客が少ない時間帯の席を、割引で埋める役割が期待できる。ビジネス客の需要が強い時間帯まで割り引くと、収益を減らす。そのため、対象列車や席数に上限を置く設計は、理にかなっている。
会員の囲い込みという、もう一つの狙い
この商品がエクスプレス予約の関連サービス経由で売られる点も見逃せない。予約・決済・乗車がスマートフォンで完結する仕組みに、新しい利用者を呼び込める。
65歳以上の人が会員になると、旅行の予約や支払いのデータが蓄積される。次に、グリーン車への変更、宿泊とのセット、他地域への延伸といった提案にもつなげやすい。割引は単なる値引きではなく、デジタル会員への入り口として働く。
割引商品が増えるほど、分かりにくさが課題になる
類似の商品は、早期購入型、会員限定型、回数券型など、すでに多くある。そこに新しい名称が加わると、利用者は「結局どれが安いのか」を比べにくくなる。
特にシニア層では、条件を読み違えて払い戻しや変更で手数料を払う例が起こりやすい。料金の安さと同じくらい、条件の書き方や案内の分かりやすさが、商品の成否を分ける。今後は、価格比較を助ける画面設計や、窓口での説明のしやすさが問われるだろう。
ビジネスへの影響
旅行会社・宿泊施設は、平日の長距離需要を取り込める
65歳以上が「のぞみ」を安く使えるなら、東京や名古屋から関西・中国地方への平日旅行が現実的になる。旅行会社は、新幹線の割引を前提にした日帰りや一泊のプランを組みやすい。宿泊施設も、閑散期の平日に高齢の夫婦客を狙える。
ただし、割引は席数が限られる。団体の旅行では、全員分が確保できない場合がある。個人手配と団体手配を分けて案内する工夫が要る。
企業は出張や帰省補助の規程を見直す余地がある
65歳以上の再雇用社員、顧問、役員は、出張で新幹線を使う機会がある。対象者が多い会社では、移動費の節約につながる可能性がある。
ただし、予約の期限が早かったり、変更に条件があったりすると、急な予定変更に弱い。経理や総務は、通常運賃との差額、変更時の手数料、予約担当者の手間をあわせて比べるべきだ。社内規程に「割引商品を優先する」と書く場合も、緊急時の例外を残しておくと運用が詰まらない。